歴史は、後者が過去の事例を検討し評価した結果を示している。実際の当事者たちはそれぞれがベストと判断した行動をとっていると思うが、必ずしも良い結果には至らないことが多い。勝者は称賛され、敗者は罵られる。しかしその勝者が次も勝者になるとは限らない。日露戦争の勝利によって日本陸軍の組織はかえって硬直化し、太平洋戦争を敗北に導いてしまうが、同様の事象は今後も起きてしまう可能性は十分にある。
組織は、合理的な視点で常に自己評価しながら刷新し続ける姿勢が問われている。
9月の読書メーター
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新装版 坂の上の雲 (5) (文春文庫)の感想
児玉源太郎の細心かつ大胆な戦略が功を奏し、二百三高地攻略から旅順陥落に至る。しかし乃木第三軍が露呈した硬直した戦略・戦術が陸軍の体質ではなく、日本人の民族性に由来するかもしれないとの司馬の指摘は当たっていると思った。 またロシア帝国は当時から平然と同盟を破る国家だったが、それは政体が変われど現在の国家に至るまで引き継がれていると感じた。また軍人は階級の昇級と反比例して、精神能力は退行するとの記述は、社会学のピーターの法則のようだ。
読了日:09月12日 著者:司馬 遼太郎
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