鷹のぼせの独り言

外科系医療者で3児の父親です。ご覧のとおりの“鷹のぼせ”です。医療、教育、書評、そしてホークスについて熱く語ります。

2019年8月に読んだ本

相変わらず司馬遼太郎を再読している。すると日本人とはどんな民族なのか考えてしまう。特に旅順攻撃の項は人命が結果的に虫けらのように扱われており、気が滅入ってしまう。この流れが太平洋戦争に繋がり、約300万人の命が失われた。悪しき精神論でどれだけ若い命が失われたことか。しかしこの日本人の体質は今も消えていない気がする。戦争を煽ったマスコミ、それに乗っかってしまった国民… 政治家や軍だけが悪いのではなかったと思う。人命を尊重すること、誤った報道・フェイクニュースに乗せられないメディア・リテラシーを磨く必要が、明治~昭和以上に現代に求められている。

 

8月の読書メーター
読んだ本の数:1
読んだページ数:414
ナイス数:22

新装版 坂の上の雲 (4) (文春文庫)新装版 坂の上の雲 (4) (文春文庫)感想


日露戦争は旅順攻撃から二百三高地に進む。司馬は乃木軍司令部、特に伊地知幸介参謀長を徹底的にこき下ろす。この本が刊行された時は、彼ら軍首脳部をこき下ろす空気があっただろうと思うが、彼らの子孫は一体どういう気持だったのかと考えてしまった。 また海軍・薩摩の山本権兵衛と陸軍・長州の山県有朋を比較し、陸軍の補給観念や技術革新の欠如が悪しき伝統として太平洋戦争まで続いたことを指摘している。 農耕国家であった日本が洋式軍隊を導入出来たのは、言語学的にアジア北方の騎馬民族の末裔であったから、との考察は面白かった。
読了日:08月11日 著者:司馬 遼太郎

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