読んだ体験を形にして残す
最近の多読・速読のススメとは一線を画した、手間ひまをかけた読書法の紹介をしている。いわゆる速読の紹介本の多くは読書ノートなどつけないと主張しているが、本書は様々な情報を時系列でぶっこんで記載するように勧めている。
思考とはガスのようなもの。今この時は、はっきり「ある」と思っても、あっという間に霧消してしまう。それにそのままでは、どんな考えなのか自分自身でもよくわからない。そんな考えを言語化し、紙に残しておくことは、ガスをポリ袋に入れて縛っておくことだとイメージするとよい。そうやってパックしてしまえば、月日がたっても消えてなくなることはない。
著者は「本の抜き書き+自分の感想」を交互に書く「ねぎま式読書ノート」を勧めている。 ただし闇雲に抜き書きするだけでは時間の浪費なので、厳選し、感想コメントは短い言葉で深い意味を込めるように考える必要がある。
理想は「読書体験を象徴する一文」を見つけること
「どの文章を抜き出すか」「それに対してどのようなコメントを書くか」と判断したり考えたりするのはアウトプットの第一歩である。
文房具にこだわる
読書ノートを作成する際には道具にこだわりを持つと長続きする。作業興奮とは、簡単な作業を続けているうちにヤル気が湧いて仕事に没入出来るようになること。例えば万年筆は、作業興奮を起こすのにちょうどよい文房具である。こだわりの文房具を用いて作業を開始すると、ランナーズ・ハイに似た「ライターズ・ハイ」に到達する。
最近はコンピュータソフト、スマホアプリを用いたログばかり紹介されるが、お気に入りのペンでまっさらなノートを埋めていく作業も悪くない、と思った。