6月の読書メーター
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胡蝶の夢〈4〉 (新潮文庫)の感想
日本人のアイデンティティは江戸時代に確立された気がする。江戸時代は細かな身分制度が敷かれ、階級社会の中で上手く立ち回るためのテクニックが醸成され、小手先のテクニックを使いこなせた者だけが地位を保証される社会だった。そのDNAは現代にも引き継がれ、忖度もそんなテクニックの一つなのだろう。
密告も共同責任もこの時代に特徴的であり、お互いに監視体制をとっていたことが幕藩体制を維持させるための基礎だった。
開国により西洋文明が流入してくると、このような日本の身分制度は矛盾だらけであり、江戸幕府の瓦解に至る。主人公らはポンペを通じて西洋医学に触れ、思想の変容を迫られた。本巻ではそんな激動の中、それぞれの人生の終焉を迎える。