鷹のぼせの独り言

外科系医療者で3児の父親です。ご覧のとおりの“鷹のぼせ”です。医療、教育、書評、そしてホークスについて熱く語ります。

イノベーションは内省から:『学習する組織』より学ぶ

組織運営を任されたら…

職場やクラスなど組織の運営を任された時、従来の方針を踏襲して前に進むか、あるいは前任者の方針に対して抱いていた不満な点を修正し前に進むか、判断が必要になることがあります。急激な変化は誰もが受け入れがたいことが多いのが実情ですが、手をこまねいていると改革は出来ずマンネリした組織になってしまいます。改革が必要なときにどこから手を付けるべきかを高間邦男著『学習する組織』より考えてみました。

 

イノベーションが組織にとって重要なのは、存続するためには外部環境の変化に適応できるように内部を変化させなくてはならないからである。そうすると、特に重要なのは、エクスターナルのシステムとコネクトする変数が変わることである。もちろん変数の位置が変わることで、つながり方が変わるのならそれでもよい。

 

 そのため、変革するにあたっては、エクスターナル・システムとインターナル・システムをつなぐ変数を見つける必要がある。そこに変革の課題があるだろう。それが従来の変数と異なるものになったとき、イノベーションが起きたと言える。

 

それを実践するには、遠回りなようでも本物の自分を探求することから、他の人々の経験・気持ちの共有を行い、内外の環境に対する組織的感受性を高め、ありたいビジョンをポジティブに話し合うことから、新しい目的意識・ミッションといった集合的な意志を創造することが効果的である。

(59頁)

 

キーワードは内省

組織を存続させるためには、外部環境の変化に適応出来るように内部を変化なさなければならない。この外部感受性を高めるためには、組織内部に対する感受性を高める必要がある。すなわち自分について深く気づくことが出来る様になると、周囲のことに気づくようになる、と著者は述べます。

ズバリ、キーワードは内省です。

 

社会の変化を感じるには、自分の組織が分からなければならないし、自分の組織が分かるには、所属するメンバーのことが分からなければならない。さらに所属するメンバーなど周囲の人のことが分かるには、自分自身のことが分からなければならないのである。

そういった意味で、イノベーションを実施できるようなメンバーを育成するには、自分自身の内面の探求から始めるほうが、遠回りのようで近道だと思う。(p56)

 

インターナル・システムは承認欲求を軸に回っている

人の持つ様々な欲求は承認欲求から成り立っています。人から賞賛されたい、認めてもらいたい、勝ちたい、何かを成し遂げたい、など欲求は人によって様々です。しかしこのことに気がつくようになると、自分の周囲の人たちのインターナル・システムをも理解できるようになります。すると相手を深く許容できるようになる。相手を変えようとするのではなく、自分が譲ってみようと考え、自分のシステムの一部を変更出来るならば、そこでブレークスルーが生まれます。

このように、内側が見えると隣接する周囲が見え、それが見えるとさらにその外側が見えるようになるのではないか。外側を生かすために内側を変えていくイノベーションの原動力の一つは、周囲に対する思いやりや貢献意識かもしれない、と述べています。当たり前と言ってしまえば当たり前ですが、これが真実なのでしょう。この箇所は総論なのですが、核心を見事に突いていると思います。

 

魚は頭から泳ぐ

 イノベーションはトップが先頭に立って社員に熱く思いを語るようでないと始まりません。組織を動かすテコはトップであり、「リーダーこそ内省が必要だ」というのが総論を読んで分かった気づきです。

 

以上、鷹のぼせの独り言でした。

 

学習する組織 現場に変化のタネをまく (光文社新書)

学習する組織 現場に変化のタネをまく (光文社新書)