読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

鷹のぼせの独り言

外科系医療者で3児の父親です。ご覧のとおりの“鷹のぼせ”です。医療、教育、書評、そしてホークスについて熱く語ります。

切れない大人にするために子育てで必要なこと 『子どもを伸ばす脳のはなし』

 成人して切れるとみっともない

私の職場で20代の男性が仕事のミスを上司から指摘・指導され、顧客の前で逆ギレする騒ぎを起こしたことがありました。手にしたファイルを机に叩きつけ、泣きながら「自分は一生懸命にやっている。これ以上どうすればいいんだ!」と感情を爆発させていました。

正直言って大人になって切れるのは見苦しいです。主張したいことはもっと別の手段で伝えることが出来るのですが、そこまで感情のコントロールが出来ないのでしょう。

では仕事に熟練してもっと余裕が生じてきたら、仕事で切れることは少なくなるのでしょうか? 残念ながらそうではないと思います。切れる人は何歳になっても切れる。切れる閾値は高くなっていくのでしょうが、スイッチが入ると物にあたる、泣きわめくなど切れ行為を繰り返してしまうようです。

では、自分の子どもたちが切れない大人になるためにはどういうことを心がけて育てていけばいいのでしょうか?

 

切れる仕組みを知ろう

切れる仕組みを脳の働きから見てみましょう。情動反応と記憶に関係しているのが扁桃体です。扁桃体は側頭葉の内側に位置し、子どもの体が危機感を感じるとそれに対処しようと活動します。また感情は扁桃体で生じ、前頭前野はそれを制御する役目があることがわかっています。怒りや悔しさなどの情動刺激は大脳皮質を経由して扁桃体に送られるため、衝動的な行動になることは少ないようです。しかし視床から直接扁桃体に送られると「キレ行動」となって現れることがあります。また前頭前野は情動を抑制する機能があり、この働きが弱いとキレやすくなります。前頭前野は思春期後半から20歳近くになってようやく成熟すると言われています。よって子どもの頃から扁桃体前頭前野を健全に育てることが「切れる大人」にならないために必要なことです。

 

扁桃体前頭前野を育てよう

扁桃体は、家族や友だち、 学校の先生など周りの多くの人たちとの関わりの中で育っていきます。子どもの生活の中で生じる喜び、悲しみ、怒り、恐怖、恥ずかしさなど様々な感情を周りの人達と分かち合って行くことが大切です。前頭前野も同様に様々な経験を積み重ねながら、前頭前野は成長していきます。良いことをして褒められたり、悪いことをして叱られたり、子どもは多くの喜びや、時には挫折さえも心の糧としてバランスの取れた思考力や判断力を身につけていきます。楽しい体験を積み重ねながら、心豊かに育てていく。そんな環境づくりが必要です。上手に褒めたり叱ったりして、物事の善悪の価値観や社会のルールを教えながら、様々な体験をさせて前頭前野を育てていきましょう。月次なことですが、当たり前のことを当たり前のようにこなすことが、どの分野でも難しいのですが…

 

ならぬことはならぬ

昨今の親や学校の先生は子どもをあまり叱らなくなったように思います。そのため子どもは我慢したり、自分の感情を抑えたりする機会が少なくなっているのではないでしょうか。これは前頭前野を成長を抑えている可能性があります。伸び伸びと育てることは大切ですが、わがままばかりでは切れ予備軍を増やすだけです。我慢することも同時に教えなければなりません。江戸時代の会津藩の藩校「日新館」の「什の掟」の最後には「ならぬことはならぬものです」と結ばれています。いけないことはいけない、という教えで論理的でも何でもないのですが、こういう価値観を押し付けることも時には必要だと思います。未熟な頭で考えた論理などくそくらえ、屁理屈言うな、の精神で良いと思います。そんな体験もしておかないと、大人になって心のバランスを取ることは難しいのではないでしょうか? 極めてまっとうな考え方であり、時代錯誤ではないと思います。

でも、子どもを指導する大人こそ、切れないように自己をコントロール手段を身につけていく必要があります。自分だって、油断するとすぐに感情的になってしまうのですから…

 

以上、鷹のぼせの独り言でした。

 

子どもを伸ばす脳のはなし

子どもを伸ばす脳のはなし