『子どもの10歳の壁とは何か?』を読み、道徳性と社会性のバランスについて考えた
今の小学校に学級委員はいないの?
という質問に娘は「何、それ?」との返事でした。私が小学生の頃にはクラスに男女1名ずつ、学期ごとに選ばれていました。
私の通った小学校では、2年生以降は投票で学級委員を選んでいました。
私は小学2年生の1学期に選ばれましたが、勿論初めての経験ですので何をしてよいのかわからない状態でした。あえて言うなら「学級の規律を守る」。小学低学年生なりに漠然とそんなことを考えていたと思います。
そこでやったことと言えば、「授業中の規律を守る」。まだまだ子どもですから、授業中に隣の人とおしゃべりをしたり、後ろを向いたり、授業に集中していない同級生がいるわけです。しかし学級委員としての「責任感」から、そんな同級生を授業中に名指しして弾劾したわけです。
「◯◯くん、おしゃべりしないでください!」
「◯◯さん、前を向いてください!」
全く、生意気にも「正義感」の塊でした。今から思うと、「何やってんだ?」と小恥ずかしい限りですが、当時の自分としてはとにかく真剣でした。授業中にそのような「おせっかいとも言える」注意・指摘をしても、担任の教師からは何も言われませんでした。
学級委員の苦い経験
一つの転機がきました。
「授業参観」です。勿論父兄が教室にやって来ます。しかし、そのような特殊の状況の中でも、むしろ特殊な状況だからこそ、一層規律を保たなければならないと感じた生意気な私は、普段と同じようにやってしまいました。
「◯◯くん、前を向いてください!!」と… それを1回のみならず、数名の同級生に対して行ってしまったのです。嗚呼…
今から思うと、名指しされた同級生の親御さんの心情はいかばかりか? と推察することが出来ます。「子どもがしてることだから仕方ない」と思う親もいれば、「なぜうちの子にそこまで、しかも公衆の面前で指摘をしなければならないのか?」と憤りを感じた親もいたことでしょう。
しかし小学2年生の頭のなかには「授業中は、静かに前を向いて、先生の話を聞く」という大前提がしっかりとインプリンティングされており、全ての価値観がその大前提に集約されていた状況だったと思います。
その日の帰宅後、参観にきていた父親から呼ばれました。
「学級委員の仕事は分かるが、授業中に周りの生徒のことばかり気にしているようでは、自分の勉強がおろそかになるのではないか?」
と指摘されました。自分としては学級の規律を守る、という正義感に基づいた行動だったのに、父親からはネガティブなことを言われ、冷や水をぶっかけられた複雑な気持ちになったことを、今でも覚えています。
しかし、それ以後は授業中に同級生の行動を注意することはやめました。しかしそれは、「自分の勉強がおろそかになる」という考えよりも、「親から言われたことだから」という思いからの方針変更だったように思います。
社会性と道徳性
仲間関係が築けていても、非行のように道徳的に逸脱している人もいますし、道徳的に高いレベルの考えができても、人とかかわらず孤立している者もいます。一般には、ほどほどに望ましい家庭教育、学校教育を受けていれば、社会性も道徳性もそれなりに関係し合って、双方を身に付けていくものですが、ときに、バランスの悪い子どもたちがいます。
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