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鷹のぼせの独り言

外科系医療者で3児の父親です。ご覧のとおりの“鷹のぼせ”です。医療、教育、書評、そしてホークスについて熱く語ります。

『子どもの10歳の壁とは何か?』を読み、道徳性と社会性のバランスについて考えた

今の小学校に学級委員はいないの?

という質問に娘は「何、それ?」との返事でした。私が小学生の頃にはクラスに男女1名ずつ、学期ごとに選ばれていました。

私の通った小学校では、2年生以降は投票で学級委員を選んでいました。

私は小学2年生の1学期に選ばれましたが、勿論初めての経験ですので何をしてよいのかわからない状態でした。あえて言うなら「学級の規律を守る」。小学低学年生なりに漠然とそんなことを考えていたと思います。

そこでやったことと言えば、「授業中の規律を守る」。まだまだ子どもですから、授業中に隣の人とおしゃべりをしたり、後ろを向いたり、授業に集中していない同級生がいるわけです。しかし学級委員としての「責任感」から、そんな同級生を授業中に名指しして弾劾したわけです。

「◯◯くん、おしゃべりしないでください!」

「◯◯さん、前を向いてください!」

全く、生意気にも「正義感」の塊でした。今から思うと、「何やってんだ?」と小恥ずかしい限りですが、当時の自分としてはとにかく真剣でした。授業中にそのような「おせっかいとも言える」注意・指摘をしても、担任の教師からは何も言われませんでした。

 

学級委員の苦い経験

一つの転機がきました。

「授業参観」です。勿論父兄が教室にやって来ます。しかし、そのような特殊の状況の中でも、むしろ特殊な状況だからこそ、一層規律を保たなければならないと感じた生意気な私は、普段と同じようにやってしまいました。

「◯◯くん、前を向いてください!!」と… それを1回のみならず、数名の同級生に対して行ってしまったのです。嗚呼…

 

今から思うと、名指しされた同級生の親御さんの心情はいかばかりか? と推察することが出来ます。「子どもがしてることだから仕方ない」と思う親もいれば、「なぜうちの子にそこまで、しかも公衆の面前で指摘をしなければならないのか?」と憤りを感じた親もいたことでしょう。

しかし小学2年生の頭のなかには「授業中は、静かに前を向いて、先生の話を聞く」という大前提がしっかりとインプリンティングされており、全ての価値観がその大前提に集約されていた状況だったと思います。

 

その日の帰宅後、参観にきていた父親から呼ばれました。

「学級委員の仕事は分かるが、授業中に周りの生徒のことばかり気にしているようでは、自分の勉強がおろそかになるのではないか?」

と指摘されました。自分としては学級の規律を守る、という正義感に基づいた行動だったのに、父親からはネガティブなことを言われ、冷や水をぶっかけられた複雑な気持ちになったことを、今でも覚えています。

しかし、それ以後は授業中に同級生の行動を注意することはやめました。しかしそれは、「自分の勉強がおろそかになる」という考えよりも、「親から言われたことだから」という思いからの方針変更だったように思います。

 

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社会性と道徳性

『こどもの「10歳の壁」とは何か?』は小児の発達心理学に基づいて10歳前後の子どもたちに何が起こっているかを解説した良書です。
この中に子どもの社会性と道徳性についての記述があります。
 
「社会性」とは対人関係を円滑に営むための考え方、言葉、ルール、態度を身につけることを指しています。一方「道徳性」は対人関係における人権や福祉、公正・正義などの価値観を重んじるものである、と述べています。このように社会性と道徳性には違いがあります。
仲間関係が築けていても、非行のように道徳的に逸脱している人もいますし、道徳的に高いレベルの考えができても、人とかかわらず孤立している者もいます。一般には、ほどほどに望ましい家庭教育、学校教育を受けていれば、社会性も道徳性もそれなりに関係し合って、双方を身に付けていくものですが、ときに、バランスの悪い子どもたちがいます。
 
「バランスの悪い子ども…?」 これ自分のことじゃないか!! 学級委員としての私の振る舞いは、小学2年生としての正義感・道徳性が勝っていて、他人に配慮する社会性に乏しいバランスの悪い状態だったと思います。自分自身のなかでも、なんとなく居心地の悪さを記憶していて、大人になった今でもほろ苦い思い出として残っています。
しかし、これは仕方のない問題なのかもしれません。なぜなら、本書によると「具体的な考え方から抽象的な考え方に変わるとき」や「複雑な感情に気づくとき」など様々な変化が子どもたちに生じるのは9、10歳の頃だというのですから。
 
しかし、子どもにかぎらずこれまでの人生のいたる所で、社会性と道徳性のアンバランスに起因する失敗や難題はいくらでもあったような気がしています。
 
ですので、この9、10歳の時期にきちんと社会性と道徳性の発達の基盤をつくっておくことが、大人になったときに役に立つと思うのです。9,10歳の時期は大人への階段への大切な時期であることを本書から学びました。
 
子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗りこえるための発達心理学 (光文社新書)

子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗りこえるための発達心理学 (光文社新書)