勇気ある子どもを育てるためには
「男の子の育て方」(諸富祥彦著)を読みました。本書は幼児期から思春期にかけての男の子の望ましい育て方について、特に母親を対象として書かれたものです。しかし父親が読んでもなるほどと思わせる記載も満載です。内容を振り返ってみると、どれも当たり前のことが書かれてあるのですが、その当たり前のことを上手く伝わるように表現できている著者の文章力に感心しました。
男の子の育て方~「結婚力」「学力」「仕事力」。0~12歳児の親が最低限しておくべきこと。~
- 作者: 諸富祥彦
- 出版社/メーカー: WAVE出版
- 発売日: 2009/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 7人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
著者は「勇気のある子ども」とは
- 困難を克服しようとする
- 失敗しても自己嫌悪に陥らない
- 出来るかどうか分からないことにチャレンジする
- 自分一人だけでやろうとせず、人と協力しようとするこどもである
と述べています。では一体どうすれば「勇気」を持つことが出来るのでしょうか? 本書の思想のベースにはアドラー心理学の影響があるようです。アドラー心理学について述べた「嫌われる勇気」を参考にして考えてみました。アドラー心理学では「人は、自分には価値があると思えた時にだけ、勇気を持てる」と述べています。では「一体どうすれば、自分には価値があると思えるようになるのか?」という問いに対して、「私は共同体にとって有益なのだ」と実感出来た時にこそ、自らの価値を実感出来ると述べています。子どもたちにとっての共同体は学校や友達仲間などありますが、家族も大切な共同体の一つです。では子どもたちが家族の中で、自分の価値を実感出来るようにするにはどうすれば良いのでしょうか?
手伝いをさせよう
- フットワークが身につく
- 役割を果たす喜びやみんなの役に立つ喜びを体験出来る
- 困難に立ち向かう力を育てることが出来る
親は援助者でなくてはならない
子どもに対して「勉強しなさい」と言わない親はなかなかいないと思います。しかしこのような言動もアドラー心理学ではダメ出しです。「子どもが勉強すること」は子どもが自ら解決すべき課題です。決して親や教師が肩代わり出来るものではありません。たとえ親子であっても他者の課題に土足で踏み込み、上から指示することをアドラー心理学では「介入」と呼び決して勧めていません。一方、「勉強は子どもの課題である」と理解したうえで、「勉強しなさい」と上から命令するのではなく、子どもの力で課題に立ち向かっていけるように働きかけることを「援助」といいます。この援助の根底には、親子であっても「課題の分離」があり、縦の関係ではなく「横の関係」が存在しているのです。こうした横の関係に基づく援助を「勇気づけ」と呼びます。人が課題を前に踏みとどまっているのは、その人に能力がないからではありません。課題に立ち向かう勇気がくじかれているのが問題なのだ、とアドラー心理学では考えられています。
親は、子どもの課題を自分とは分離させ、横の関係を築き、介入者ではなく援助者でなくてはならないと述べています。このアドラー心理学の思想をそのままたどるとすれば、始めから達成出来ている親は少なかろうと思います。頭ごなしに介入している親がほとんどではないでしょうか? 結局、子育てのためには、親が自らの姿勢を正す必要があると思うのですが、いかがでしょうか?
しかし子どもに対して「勇気づけ」のアプローチをしていくことは、「私は子どもの役に立っている」という実感に繋がり、巡り巡って親であるあなたの生きる勇気につながるのです、というのがアドラー心理学の考え方でした。