鷹のぼせの独り言

外科系医療者で3児の父親です。ご覧のとおりの“鷹のぼせ”です。医療、教育、書評、そしてホークスについて熱く語ります。

三冠王の説得力は半端ない

中日ドラゴンズGMに就任した落合さんの著書である。監督時代よりそのチーム運営には興味を持っていた。またGM就任後は選手の契約更改に関わり、なんと8億円ものコストカットを敢行した、とも報道されている。プロ野球界で選手として監督として頂点を極め、さらにはGMとして球団の采配に挑戦している落合さんの生き様に興味を持った。

予習より復習

どんな仕事でもひとつの技術を身につけていく作業は地味で、相当の根気も必要になる。技術の習得には時代の変化も進歩も当てはまらない。コツコツとアナログで身につけていくものだ。だからこそ「明日取り組むことの予習」よりも「今日経験したことの復習」が大切になる。 

実はこの本の中で一番面白いと感じたのがココ。飲み込みの早い人は忘れるのも早いことが多く、逆に自分は不器用だと自覚しているほど反復練習するので技術が身につくという。まるでウサギとカメのような話であるが、落合さんがいうとなんだか説得力がある。プロとは難しい。センスがある選手が必ずしも大成しない。常に謙虚さをもって日々の生活を送っている選手ほど成功をおさめることができるのだろう。しかしこれはプロスポーツだけにかぎらず、一般の我々にも通じる話しだと思った。

 

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自己との戦い

不安もなく生きていたり、絶対的な自信を持っている人間などいない。誰もが不安を抱えているからこそ、試行錯誤しながら努力を続けられるのである。そう考え、自分はどんな練習(努力)をすればいいのか考えぬくことが大切なのだ。 

成功をおさめた人でもその過程で不安・孤独との戦いに打ち克つ必要があった。もがき苦しむ過程が実力として備わっていく。

 

タイトル「采配」の意味

選手、監督時代の裏話に興味はわくのだが、彼の考え方は第6章の最後に集約しているように思う。

 

人生を穏やかに生きていくことには名声も権力も必要ないと考えている。大切なのは、何の仕事に就き、今どういう境遇にあろうとも、その物語を織り成しているのは自分だけだという自負をもって、ご自身の人生を前向きに采配していくことではないだろうか。

采配

采配