鷹のぼせの独り言

外科系医療者で3児の父親です。ご覧のとおりの“鷹のぼせ”です。医療、教育、書評、そしてホークスについて熱く語ります。

チームシップを育むための3本柱とは? 『今いる仲間で「最強のチーム」をつくる』

私の所属する医療チームは内科、外科などの所属科単独ではなく、複数科の混成チームで成り立っている。この方法をとることによって、疾患を内科的あるいは外科的に評価・診断することができ、手術を実施した後も内科的なフォローアップが可能となり、各科連携のもと息の長い治療計画を立てることができる。

チームを構成するメンバーは各所属科の通常の仕事をこなすことに加えて、専門の疾患単位の治療を行う際には各科の垣根を越えてチーム医療を行っている。よって患者の病態の把握のために定期的にカンファランスを行っている。

多科が関わる診療のため、各医師が個人プレーに走らないように、チーム医療が機能するように注意しながら連携を図っている。医師はややもすると個人営業主として行動しがちなため、teamshipを育むための努力が求められる。

 

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Teamshipを育むために必要なこと

それでは teamshipを育むためには何が必要だろうか。私たちは以下の3項目が重要と考えている。

  1. 素直であること
  2. 勉強好き
  3. 組織文化との同質性

1.ここは、人の話に素直に従うという受動的な態度を指しているのではない。人の意見を聞くことは当然ながら、自分の意見をはっきりと言える姿勢のことを指している。治療方針をすりあわせていく過程では、各医師に様々な内面の葛藤が生じる。その原因は医師個人の知識・技術の差異による部分もあれば、それまでの経験の差が関与することもある。もちろんカンファランスにおける声の大小もあるだろう。とかく声が大きな人の発言は一見正論のように聞こえるし、その意見が通りやすい傾向がある。しかしそのような発言が必ずしも真実ではない。他の医師の意見はきちんと認識しリスペクトした上で、自分の意見をきちんと伝える正直さを持ち合わせたい。「素直」というのは決して他人に対して示すのではなく、自分の心に対して素直であることのほうが大切である。その一方で、教えてもらったことを忠実に、素直に実行すれば成果が出る。するとさらに成果を生み出すために自身で勉強を始める。

 

こうして2.勉強好きのプラスのスパイラルが回り始める。医療の基本的な知識はこのようにして身についていく。しかしカンファランスでは異なる意見のスタッフとも議論しなければならない。自分の意見をきちんと伝えるためには理論武装しなければならず、そのためにも基本的なことから一歩踏み込んだ学習をしなければならない。よってさらに勉強好きであることが求められる。

 

3.医療チームとして上手く機能するためには、チームとしての方向性を定めておく必要がある。患者によってころころ方針を変えるのではなく、そのチームとしての骨太の治療方針を明確にした上で各患者に個別に対応するほうが、クリアな方針でよりよい医療を提供できる。すなわちチームとして組織文化の同質性が求められる。会社で言えば「社風」に当たるだろうか。組織文化の同質性に合わない人がいれば、再教育が必要になる。

 

これらの3本柱を意識してチーム医療を行うようにしたい。軸がはっきりしていれば、医師の異動があっても組織として大崩れすることはないだろう。